こうあるべきの鎧を脱ぎ捨てたくて
学生として、バイトとして、女性として、若者として、子供として、大人として、娘として。
無数の「こうあるべき」に縛られながら生きている。正確には生きてきた。
誰もが無視出来ない他者からの「こうあるべき」という視線。
私はこの視線に少々雁字搦めになっていた。少々ではないかもしれない。
与えられた役目を全うすることこそが正しく、正しさこそが人をはかるものさしであると信じて。それ以外の選択肢を持ち合わせていなかったところもあるのだが。
私はいま、他者からのこういう視線を全力で拒もうとしている。
人生初の試み。大転換期。初めて自分自身へのまなざしを大切にしようとしているのか。
他者からの視線と自分自身へのまなざしに、大きく溝ができたという方が正しいのか。
あとのことはもう皆に任せた。私は自分自身へのまなざしを信じて、他者からの視線の鎧を脱ぎ捨てる。